日本トップの姉妹対決を制して、金城芽唯美(極真会館沖縄)が優勝
清水未来&由埜(桜塾)vs. 金城芽唯美&杏奈(極真会館沖縄)の姉妹対決で話題を呼んだ女子軽量級。それは、JKJO全日本ファイナリストの清水姉妹vs. 極真連合会第5回世界大会ファイナリストの金城姉妹というJKJOと極真連合会の団体トップ対決でもあった。
2024第3回インカレで、岡田葵(桜塾)と対戦した金城芽唯美は、大会前に「桜塾の組手を徹底研究した」がそれでも及ばなかった。「今回は、さらにその一歩先を研究し対戦に備えてきた」(芽唯美)という。準決勝では清水由埜vs. 金城芽唯美、清水未来vs. 金城杏奈が実現。両試合とも清水姉妹が突きのラッシュを浴びせる中、金城姉妹は回り込み角の大きなステップで試合のイニシアティブを握り、金城芽唯美&杏奈姉妹が勝利を決めた。決勝は互いの手の内を知り尽くした姉妹対決。直突きと前蹴り、下段廻し蹴りで攻勢をとり続けた金城芽唯美が判定5-0でJKJO全日本初出場・初優勝を決めた。
酒井琉翔(桜塾)がJKJO全日本2階級制覇&6度目の優勝
2022年から2024年まで全日本女子軽量級で4度の優勝を遂げてきた酒井琉翔(桜塾)。2022年の全日本ジュニアと一般女子軽量級の同時エントリー&優勝を含めれば、JKJO表彰台の頂点に6度上がってきた。今大会の決勝の相手は、頭ひとつ高い長身から繰り出す膝蹴りを武器に勝ち上がってきた三ヶ島玲奈(無限勇進会)、極真連合会第40回全日本ウェイト制女子重量級3位の実力だ。軽量級から中量級へ2階級制覇を狙う酒井にとっては、最高の試金石となった。試合開始と同時に、前蹴りの牽制から間合いを詰め、突きのラッシュから膝蹴りを放つ三ヶ島。酒井も突きの連打で応じながら、タイミングを見て左の強い振り打ちを返し相手の攻勢を許さない。”効かせる” 、” 倒す”は理想だが、” 有効打”がなんたるかを知っている酒井ならではの一撃だ。ラスト30秒、直前の展開で間合いを取っていた酒井が距離をグッと詰めてラッシュに出た。両者の有効打、手数、攻勢とも酒井が上。緩急ある攻防の展開は、さすがJKJO全日本最多の女王だった。判定は5-0、酒井が6度目のJKJO全日本優勝を決めた。
小林由依菜(桜塾)が “女子最激戦区” を制して2連覇を達成!
各ビッグトーナメントの覇者や、表彰台の常連のトップ選手らが名を連ねた今回の女子重量級。昨年の優勝者であり第3回インカレ女王・小林由依菜(桜塾)を筆頭に、昨年の準優勝者&2023JFKO全日本女子重量級3位の鴨宮菜々花(武立会館)。2023年のJKJO全日本優勝者でキックボクシングからカムバックの神谷優良(神谷塾)、さらには2025極真統一全日本の女王・松田理央(世界総極真)など、まさに日本一を争うにふさわしい顔ぶれとなった。決勝に上がってきたのは小林と鴨宮だった。小林は2023JKJO全日本で敗れた神谷にリベンジを果たしファイナルへ。鴨宮も成長著しい松田に安定した強さを見せつけて勝ち上がってきた。試合は、小林の右の蹴りを警戒し右に回りながら攻撃の機を伺う鴨宮に対し、小林は下突きの連打で接近戦を仕掛け下段廻し蹴りで崩しにかかる。鴨宮も帳面から打ち合うが、小林のパワーあふれる連打に場外に押し出される場面も。ラスト20秒、鴨宮も起死回生を狙って正面から打ち合いにでるが、小林の攻勢を変えることはできなかった。判定は5-0。小林が圧倒的な強さで2連覇を果たした。
新里誠光(武立会館)がついにJKJO全日本の頂点へ
男子軽量級は、多くの人が予想したように新里誠光(武立会館)が決勝戦に上がってきた。今年5月のWFKO世界大会と昨年のJFKO全日本の準優勝者。誰もが認めるトップクラスの実力だが、この2年、苦杯を舐め続けてきたフラストレーションはおそらく限界に達していたはずだ。選手名のコールとともに、試合場へと伸びる花道を一気に駆け抜けて登場したその姿は、”頂点”への渇望を感じさせるものだった。対戦者は、紅谷凱の活躍で強豪選手が育ち始めた極真拳武会さいたま浦和支部の和田凜太郎。今年のJFKO第2回国際大会でベスト8に入賞した期待の17才だ。試合は、新里の中段突きから下段回し蹴りへの連続技から始まった。ここで見せたのが和田の気合いいいっぱいのプレスだ。肘が90度に曲がる間合いからテンポある下突きの連打を叩き込んでいく。新里の中段回し蹴りを前に出て潰すなど徹底した接近戦だ。中盤以降、新里の巧みな間合いのコントロールで中段蹴りがヒットし始めるが、ラスト30では両者ラッシュで互角勝負。判定は2-1でわずかながら和田が有利となった。延長戦に入っても和田の強烈なプレスは止まず、超接近戦からの下段蹴りで新里を苦しめる。新里もサイドに回りながら下突き、さらには上段蹴りで応戦だ。ラスト1分、ここで和田が”押し”による注意2を犯してしまった。はっきりとした形で勝負を決めたい新里は上段蹴りで判定は和田の顔面を急襲するが決まらず……。判定は5-0、新里がJKJO全日本の頂点に立った。
紅谷 凱(極真拳武会さいたま浦和支部)が4連覇を達成!
来年から中量級に階級アップ
「軽中量級出場は今大会で最後。4連覇を果たして、来年からは中量級にエントリーします」と大会前に語った紅谷 凱(極真拳武会さいたま浦和支部)。この階級がJKJO全日本大会に新設された2022年の第14回全日本大会から昨年の第16回大会まで3連覇。2024年のJFKO全日本大会軽中量級では頂点に立ち、今年5月のWFKO世界大会では3位に入賞した。紅谷なら連覇して当然という雰囲気の中、準決勝で立ちはだかったのは神谷 定(神谷塾)だった。2024JKJO全日本大会では中量級で3位入賞の実力者。今大会でも、紅谷相手に本戦から再延長まで互いに一歩も引かないフルファイト。神谷は最後の局面で有効打と手数で負けこそしたが、会場から多くの拍手と将来への大きな期待が寄せられた。そして紅谷を決勝で待っていたのは、昨年の決勝で対戦した三井所太陽(真道會)だった。三井所は2024年の第3回インカレの優勝者。切れと伸び、そして威力と文句ない技の持ち主だ。決勝は、三井所の爆発力ある蹴りで幕を開けたが、終盤は紅谷が回転の効いた技で三井所を畳み込む。判定は2-1で三井所。延長に入ると、突きで挑む紅谷に対して三井所は突きから蹴り技へとつなぎ、互いの組手で勝負を懸ける。差が出たのはラスト20だ。紅谷の回転力が三井所を上回り、判定は5-0で紅谷へ。紅谷が4連覇を達成した。
石野源太郎(桜塾)が5度目の全日本優勝を決めて “JKJO絶対王者” を宣言
JKJO中量級のエースとして、自派、他流派の大会問わず挑戦をし続けてきた石野源太郎(桜塾)がついに5度目の全日本優勝を決めた。石野は今年で29歳。大会前には「年を重ねて、大会に臨む気持もこれまで掲げていた”挑戦”という志から”牙城死守”という使命変に変わってきました」とエースの自覚を語っていた。各トーナメントで表彰台に上がるトップ選手が顔を揃えた中量級のなか、石野が準決勝で迎えた相手は小西佑哉(中村道場兵庫西)だった。序盤、小西の突き蹴りの強烈なインパクトに出方を伺う石野だったが、後半、上段前蹴り、さらには中段膝蹴りで試合の流れを握り判定5-0で完勝だ。決勝は、金尾鷹(空手道MAC奈良)。昨年の準優勝者の中山拳杜(白蓮会館)や極真連合会第41回全日本ウェイト制優勝の福永匠真(千葉田中道場)など強豪ひしめくトーナメントを勝ち上がってきた。本戦、金尾の突きに、石野が「今大会のために磨きをかけてきた」という中段膝蹴りで合わせていく。金尾は初の決勝進出にふさわしいチャレンジスピリットでひるまずに前に出て突き蹴りをぶつけていく。本戦判定は2-1で金尾へ。延長戦では、両者とも技を出しながら相手の動きを伺う。ラスト20秒、金尾が突きのラッシュに出ると石野が中段膝蹴りで迎撃。有効打、手数とも石野が上回った。判定は4-0。優勝を決めた石野は「来年、6度目の優勝を狙います」と早くも連覇を宣言した。
早川羅偉(桜塾)が大ケガを乗り越えて2連覇を達成!
決勝戦の判定の瞬間、早川羅偉(桜塾)は視線をじっと前に向けていた。”俺はやるだけやった。あとは、勝敗は審判に任せる”。その姿からは、そんな堂々とした気持ちが見て取れた。早川は、今年5月のWFKO世界大会で相手の上段ヒザ蹴りを受けてアゴを骨折。入院生活を余儀なくされた。「一度は諦めかけたJKJO全日本出場。でも道場でみんなの稽古を見ているうちに闘志が沸いてきたんです」決勝戦で待っていたのは、極真連合会第5回世界大会王者の芦髙侑平(極真近畿総本部)だった。早川はこれまで芦髙と何度か対戦し、その都度、苦杯を舐めてきた。試合巧者の芦髙に勝てるのか? 芦髙の順突きが早川を突いた。相打ちだ。芦髙はなおもステップを踏みながら中段、そして下段の蹴りを叩き込んでいく。試合巧者の芦髙は攻撃を重ねながら、勝負のタイミングを待っていたかのようだった。ラスト1分、勝負を懸けたのは早川の方からだった。間合いを詰めて芦髙を捕まえると、突きと下段蹴りを一気に叩き込んだ。芦髙も応えるが、早川の方が威力も技の回転も上だった。「自分には突きと下段蹴りしかありませんから」という試合前の言葉がそのまま技の勢いになって現れていた。判定は3-0。主審の「白」のコールに、早川は安堵から膝に手を着いた。重量級2連覇達成。早川は「失意が深かったからこそ、喜びも大きい。道場生たちに支えられた優勝でした」と語った。