ジュニア空手の最高峰のひとつであるJKJO全日本ジュニア空手道選手権大会が、11月26日(日)国立代々木競技場第一体育館(東京都渋谷区)で行われた。幼年から高校生まで、男子20階級、女子18階級の計38階級に分かれて熱戦が繰り広げられた。全国各地の選抜大会を勝ち抜いた今大会の出場選手数は1358人、観客は7000人超。オリンピックなどでも見られるビデオリプレイシステム(ビデオ判定)を導入し、厳正な判定が行えるシステムを整えるなど、今年も大きな進化を果たした。
全階級のなかでも、ひときわ注目を集めたのが、中学1年男子42kg未満の部出場の、JKJO全日本ジュニアで7連覇中の村上雄哉(聖心會)だ。言い換えれば、JKJO全日本では幼年の部出場から負けなし。8連覇に大きな期待がかかった。そこに立ちふさがったのが2020年の第14回大会で3位になった山口叶来也(武立会館)だ。この時、同じクラスで村上が優勝し5連覇を達成。準決勝で対戦した両雄は、一進一退の攻防を繰り返し、再延長の末、山口が判定3-2の僅差で勝利をものにした。山口は、決勝戦で準優勝 柳田凌央(桜塾)と対戦し、そのまま全日本ジュニアの頂点へと駆け上った。村上は8連覇の夢こそ破れたが、これで終わらないはず。新たなる連覇の達成、さらには日本、そして世界の頂点へ向かって稽古を続けるはずだ。今回優勝の山口ともども、日本の空手界の未来を作ってほしい。
JKJO全日本ジュニアの魅力は、強さや勝敗ばかりではない。優勝という目標のもと、道場の仲間たち、そして師範らといっしょに走り続けることで多くのことを感じ取り、また学ぶこともそのひとつだ。たとえば、小学6年女子40kg以上の部決勝戦で、藤田星莉(桜塾)と石﨑美陽(拳気道会)が対戦。接戦の末、藤田星莉(桜塾)が優勝を果たしたが、藤田が、この日の彼女のセコンドを務めていた第12回、13回、15回全日本女子軽量級女王の酒井琉翔と見せたフィストバンプは、師弟の関係性とこれまでの努力を思わせるものだった。
全日本ジュニアが終わって一週間が過ぎたが、すでに来年の第18回全日本ジュニア大会は始まっている。どのようなドラマが繰り広げられるか、今から楽しみだ。